ありがとうニュージーランド
30歳になる前に日本へ帰ろう。
そう決めてニュージーランドを離れた。
今振り返ると、不思議な気持ちになる。
カナダへ行ったのが27歳。
ニュージーランドへ行ったのが28歳。
英語がペラペラだったわけでもない。
お金がたくさんあったわけでもない。
むしろ逆だ。
カナダから帰国した時に残った約40万円。
そこからニュージーランドへの航空券などで約20万円使い、手元に残ったのは20万円ほどだった。
今考えると無謀だったかもしれない。
それでも私は行った。
そして結果的に、その決断は人生の大きな財産になった。
今日は、そんなニュージーランドへの感謝を書いてみたい。
英語よりも先に仕事が見つかった
果樹園で働いた日々
ニュージーランドに到着して最初に働いたのは果樹園だった。
リンゴ。
オリーブ。
スクワッシュ。
ぶどう。
季節ごとに仕事が変わる。
イギリス人の若者と一緒に働き、インドネシア人とシェアハウス生活をした。
英語の勉強をしていたというより、生きるために働いていた。
朝起きて仕事へ行く。
終わったら買い物をして帰る。
そんな毎日だった。
日本では当たり前だった生活も、海外では全部が新鮮だった。
ワイナリーレストランとの出会い
人生はどこで変わるかわからない
ある日、私はハローワークのような機関である「Work and Income」に行った。
すると職員の人から声をかけられた。
「仕事を探しているのか?」
そんな流れで紹介されたのがワイナリーレストランだった。
今でも人生は面白いと思う。
必死に探して見つからない時もある。
でも、ふとした出会いで道が開けることもある。
私はそこで皿洗いをし、シェフの補助をし、ハーブを摘み、レモンの皮を削った。
決して華やかな仕事ではなかった。
それでも毎日が充実していた。
海外で働いて給料をもらう。
それだけで十分に価値があった。
ニュージーランド人は本当に自由だった
「イヤーオフ」が普通だった国
日本では大学へ行き、就職して働く。
そんな人生が当たり前だと思っていた。
しかしニュージーランドでは違った。
高校卒業後に1年遊ぶ。
旅行する。
働く。
考える。
そんな若者が普通にいた。
今で言うギャップイヤーやイヤーオフだ。
当時の私は驚いた。
「そんな生き方が許されるのか」
と。
でも彼らは焦っていなかった。
人生は長い。
急がなくていい。
そんな空気があった。
52歳になった今だからこそ思う。
あの時に見た価値観は、今の私の再起動にもつながっている。
IELTS5.5の壁
現実は甘くなかった
もちろん楽しいことばかりではない。
私は現地の学校へ進学することも考えた。
そのためにIELTSを受験した。
必要だったのは5.5。
結果は5.0。
あと少しだった。
しかし、その「あと少し」が遠かった。
さらに外国人学費は高かった。
想像以上だった。
夢はあった。
でも現実もあった。
当時の私は、お金も英語力も十分ではなかった。
だから進学を断念した。
悔しかった。
でも今思えば、その失敗も人生の経験だった。
ワークビザの話もあった
残る選択肢もあった
実はニュージーランドでもワークビザの話が出ていた。
カナダでもあった。
ニュージーランドでもあった。
ありがたい話だった。
でも私は帰国を選んだ。
理由はいくつかある。
親のこと。
年齢のこと。
将来への不安。
そして30歳までには日本へ戻ろうという気持ちだった。
正解だったかどうかは分からない。
人生に答え合わせはない。
ただ、その時の私は精一杯考えて決めた。
だから後悔はしていない。
人生は何とかなる
ニュージーランドが教えてくれたこと
ニュージーランドで学んだことは英語ではない。
もちろん英語も学んだ。
でも本当に学んだのは、
「人生は意外と何とかなる」
ということだった。
残金20万円。
英語も不十分。
知り合いもいない。
それでも仕事は見つかった。
住む場所も見つかった。
友人もできた。
笑う日もあった。
海外へ行く前は不安だらけだった。
でも実際に行ってみると、不安の多くは想像だった。
だから今の私はこう思う。
挑戦する前から諦めるのはもったいない。
やってみなければ分からない。
それは52歳になった今でも同じだ。
ありがとうニュージーランド
ニュージーランドは私に成功をくれたわけではない。
大金をくれたわけでもない。
学位をくれたわけでもない。
でも、
「世界は思ったより広い」
「人生は一つじゃない」
「何歳からでも挑戦できる」
そんな大切なことを教えてくれた。
もし28歳のあの日、残金20万円を握りしめて飛行機に乗らなかったら。
今の私はいなかったと思う。
だから言いたい。
ありがとうニュージーランド。
あの経験は、52歳になった今も私を支えている。
そして、その後の人生で私は日本へ戻り、さまざまな仕事を経験し、成功も失敗も繰り返した。
何度もリセットしながら生きてきた。
次回は、そんな私がなぜ人生を何度もリセットしてしまったのかを書いてみたい。


