「英語が通じて涙が出そうになった話|エドモントンのJob Fairで人生が変わった日」

27歳でカナダへ渡った私は、英語にまったく自信がなかった。

今でこそTOEIC695まで伸びたが、当時は外国人とまともに会話した経験も少なく、「本当に仕事が見つかるのだろうか」と毎日不安だった。

しかも、最初に滞在したバンクーバーは思っていた環境と違った。

ホームステイも合わなかった。

アジア系の人が多く、日本語も聞こえてくる。

せっかく海外へ来たのに、自分が求めていた環境ではない気がした。

そこで私は思い切って長距離バスに乗り、16時間かけてアルバータ州エドモントンへ向かった。

知り合いは一人もいない。

仕事も決まっていない。

英語も話せない。

今思えばかなり無謀だったと思う。

しかし、そのエドモントンで人生を変える出来事が待っていた。

英語が話せないのに仕事を探していた

エドモントンへ到着してまず考えたのは仕事だった。

持っていた資金は無限ではない。

早く働かなければならない。

とはいえ、英語力には自信がなかった。

レストランで働いた経験はあったが、それを英語で説明できる自信はない。

求人情報を見るだけで緊張していた。

履歴書を持って街を歩く毎日

当時は今のようにオンライン応募が中心ではなかった。

履歴書を持って店を回ることも珍しくない時代だった。

語学学校の先生や無料英会話クラスで教わった内容を思い出しながら履歴書を作った。

面接で聞かれそうな質問も紙に書いて練習した。

それでも不安だった。

「何を言われるかわからない」

「聞き取れなかったらどうしよう」

そんなことばかり考えていた。

Job Fairで迎えた運命の日

そんなある日、私はエドモントンで開催されていたJob Fairへ足を運んだ。

企業がブースを出し、その場で応募者と話をする就職イベントだ。

日本でいう合同企業説明会のようなものだった。

会場にはたくさんの企業が並んでいた。

私は緊張しながら一つひとつのブースを回った。

レストランの担当者と会話した

その中にイタリアンレストランのブースがあった。

後に私が働くことになるレストランだった。

担当者に声をかけた。

もちろん英語である。

緊張で頭が真っ白になった。

用意していたフレーズを思い出しながら必死に話した。

レストラン経験があること。

日本から来たこと。

仕事を探していること。

完璧な英語ではなかった。

文法も発音も間違っていたと思う。

それでも担当者は私の話を聞いてくれた。

うなずきながら質問してくれた。

そして会話が成立した。

その瞬間だった。

「通じている」

そう感じたのである。

英語が通じた瞬間に見えた世界

今思い出しても不思議だ。

会話の内容は特別なものではない。

しかし私にとっては人生が変わる瞬間だった。

英語は試験ではなかった

日本にいた頃の私は、英語を試験科目として見ていた。

文法を間違えてはいけない。

発音も正しくなければならない。

そんなふうに思っていた。

しかし海外で気づいた。

英語は試験ではない。

コミュニケーションの道具だ。

多少間違っていても相手は理解しようとしてくれる。

伝えようとする気持ちの方が大切だった。

そのことを初めて実感した。

採用の連絡が来た

後日、そのレストランから連絡が来た。

採用だった。

私は本当にうれしかった。

英語が完璧だったからではない。

自分の英語でも通じたという事実がうれしかったのだ。

あの日の経験がなければ、その後のカナダ生活もなかったかもしれない。

あの日の経験がその後の人生につながった

カナダで働き、ニュージーランドでも働いた。

英語力も少しずつ伸びた。

そして帰国後にはTOEIC695まで到達した。

さらに後年には、外資系人材紹介会社から案件紹介を受けたり、エナジードリンクで有名なグローバル企業のポジションに応募する機会もあった。

27歳でエドモントンのJob Fairに立っていた頃の私は、そんな未来を想像もしていなかった。

だから今、英語に苦手意識を持っている人へ伝えたい。

最初から完璧に話せる必要はない。

まずは一言でいい。

その一言が通じた瞬間、世界は少し変わる。

私にとっては、エドモントンのJob Fairがまさにその瞬間だった。

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