「トランプは本当に狂人なのか?」日本のメディアフィルターで見るWHO・ICCは本当に正義なのか?英語で本人の言葉を聞いて、私の印象が変わった理由

日本のメディアフィルターで見るWHO・ICCは本当に正義なのか?英語で本人の言葉を聞いて、私の印象が変わった理由

「トランプは狂っている」

日本でニュースを見ていると、そんな印象を持つ人も少なくないと思う。

暴言。挑発。突然の方針転換。

そして「アメリカ第一主義」。

正直に言えば、私自身も以前はトランプ氏をかなり極端な政治家だと思っていた。

しかし、英語を勉強し、実際に本人の発言を英語で聞くようになってから、その印象は少しずつ変わっていった。

もちろん、トランプ氏のすべてを肯定するつもりはない。

政策にも発言にも批判されるべき部分はある。

ただ、日本語に要約されたニュースだけを見て、「この人は狂人だ」と結論づけることにも、私は違和感を覚えるようになった。

そして考えるようになった。

そもそも、私たちは誰かが加工した情報だけを見て、世界を理解した気になっていないだろうか。

日本語に翻訳された瞬間、言葉の温度が変わる

これはトランプ氏に限った話ではない。

英語には、日本語にそのまま置き換えるとニュアンスが変わってしまう表現がたくさんある。

皮肉。

誇張。

会話のテンポ。

強調のための繰り返し。

アメリカ政治特有の言い回し。

例えば、英語では支持者に向けた分かりやすい強調表現だったものが、日本語の記事では「暴言」だけが切り取られる。

逆に、長い発言の中で語られた政策の背景や理由は、省略される。

すると私たちは、

「トランプがまた暴言を吐いた」

という見出しだけを受け取ることになる。

もちろん、メディアが意図的に嘘をついている、と言いたいわけではない。

ニュースには時間も文字数もある。

編集という作業も必要だ。

しかし、要約された情報と、本人が実際に話した言葉は同じではない。

これは、英語を勉強してきた私自身が実感したことでもある。

かつて海外にいた頃、英語がほとんど聞き取れなかった私が、今では英語のインタビューや政治家のスピーチを直接聞くことがある。

TOEICの点数がどうこうという話ではない。

大事なのは、「日本語に翻訳された後のトランプ」ではなく、「英語で話しているトランプ」を聞くことで、印象が変わることがあるということだ。

「国際機関だから正義」とは限らない

この感覚は、WHOやICCについて考えるときにも同じだと思う。

WHOは世界保健機関。

ICCは国際刑事裁判所。

名前だけを聞けば、どちらも「国際社会の正義を守る組織」に見える。

もちろん、それぞれに重要な役割があることは間違いない。

しかし、国際機関だからといって、すべての判断が絶対に正しいとは限らない。

2025年、トランプ政権はWHOからの離脱手続きを開始し、2026年1月にはアメリカのWHO脱退が完了した。アメリカ政府は、WHOの新型コロナ対応、改革不足、透明性や独立性への懸念などを理由として挙げている。

これを見て、

「トランプは国際協調を壊している」

と考える人もいるだろう。

その見方にも一理ある。

一方で、

「巨大な国際組織が本当に適切に機能しているのか?」

という疑問を持つことまで否定されるべきではないと思う。

WHOの存在意義と、WHOのすべての判断を無条件に信頼することは、本来は別の話だからだ。

ICCへの制裁も「狂人の暴走」だけでは説明できない

ICCについても同じである。

トランプ政権は2025年、ICCに対する制裁措置を打ち出した。

アメリカ政府の主張は明確だ。

アメリカはローマ規程の締約国ではなく、ICCがアメリカ人やアメリカの同盟国に対して管轄権を行使することに反対する、というものだ。

もちろん、ICC側にはICC側の論理がある。

実際、日本はICCの重要な支援国の一つであり、2026年8月にもICC側から日本に対して、アメリカの圧力に対抗する役割を求める動きが報じられている。

つまり、これは単純な善悪の話ではない。

「ICC=絶対的な正義」

「トランプ=国際法を破壊する悪」

と一言で片付けるよりも、

国家主権と国際司法はどこまで両立できるのか。

この問題として考えたほうが、現実に近いのではないだろうか。

私は最近、ニュースを見るときに「誰が正しいか」だけでなく、

「なぜ、この人はそう主張しているのか」

を見るようになった。

すると、今まで「理解不能な暴走」に見えていたものが、別の角度から見えてくることがある。

イラン国民が苦しむ一方で、巨額の資金はどこへ向かうのか

最近、トランプ政権がイランに対する経済圧力を強めている。

アメリカ政府は、イラン政権の資金ネットワークが武装組織への支援や国外への資金移転を可能にしているとして、企業や船舶などを制裁対象にしている。

ここで重要なのは、イランという国と、イランの国民と、イランの政権を同じものとして考えないことだ。

国民の生活が厳しくなればなるほど、真っ先に苦しむのは普通の人たちである。

食料を買う人。

子どもを育てる人。

働いて家族を支える人。

一方で、政治や軍事、地域紛争のために巨額の資金が動く。

トランプ氏やアメリカ政府の主張には、「イラン政権が国外の武装勢力やテロ組織への支援に使っている資金を、自国民のために使うべきだ」という考え方がある。

この主張を聞くと、日本では、

「またトランプが強硬なことを言っている」

と受け取られるかもしれない。

しかし、少なくとも本人たちの主張を直接確認すると、単純に「イラン人を苦しめたい」という話ではない。

むしろ彼らは、問題はイラン国民ではなく、その資金をどこに使っている政権なのだという論理を展開している。

もちろん、経済制裁そのものが一般市民を苦しめる可能性があることも事実だ。

実際、現在の対イラン政策をめぐっては、制裁の強化がイラン経済や一般市民にさらなる負担を与えるという懸念も報じられている。

だからこそ、この問題も単純な勧善懲悪ではない。

トランプを好きになる必要はない。でも、自分で聞くことはできる

私は別に、

「トランプ最高!」

と言いたいわけではない。

トランプ氏を支持する人もいれば、強く批判する人もいる。

それは当然だと思う。

ただ、日本のテレビやニュースサイトで作られた「トランプ像」だけを見て判断するのは、少しもったいない。

今は便利な時代だ。

本人のスピーチも記者会見も、英語が完璧に分からなくても字幕や翻訳を使って確認できる。

WHOの発表も。

ICCの声明も。

アメリカ政府の公式発表も。

昔のように、新聞やテレビだけが世界への窓だった時代ではない。

だからこそ私は、

「誰かが要約した世界」だけで生きる必要はない。

と思っている。

英語を勉強してよかったと思う理由の一つも、ここにある。

全部を理解できなくてもいい。

一部でも、自分の耳で聞く。

原文を読む。

複数の情報を比べる。

それだけで、世界の見え方はかなり変わる。

世界では、私たちが思っている以上に大きな変化が起きている

WHOからのアメリカ脱退。

ICCをめぐる国家主権と国際司法の対立。

イランへの強烈な経済圧力。

そして、国際秩序そのものが揺れているようにも見える。

日本に住んでいると、毎日の生活の中では実感しにくい。

しかし世界では今、政治だけではない。

経済の世界でも、大きな異変が同時に進んでいる。

中国では不動産問題だけでは説明できない構造的な経済減速。

一方のアメリカでは、AIに対して天文学的な資金が流れ込んでいる。

果たして、中国経済の失速はどこまで世界に影響するのか。

そして、アメリカのAI巨額投資は本当に未来への投資なのか。

それとも、新しいバブルの始まりなのか。

ニュースを「誰が悪い」「誰が正義」で見るだけでは、見えないものがある。

世界で起きている出来事は、実はすべてどこかでつながっているのかもしれない。

次回は、そのもう一つの大きな変化について考えてみたい。

中国経済の構造不況×アメリカのAI巨額投資。

世界経済で今、何が起きているのか。

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