「もし明日、自分がいなくなったら?
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銀行口座より厄介だった。スマホ、パスワード、サブスク……死後に残された人を困らせないために考えたこと
「終活」と聞くと、以前の私はどこか他人事だった。
遺言書があって、相続する不動産があって、銀行口座にまとまったお金がある人の話。
正直に言えば、私には「残すほどの資産がないなら、終活なんてまだ必要ない」と思っていた。
しかし、あるときふと思った。
もし明日、自分が突然いなくなったら、私のスマホはどうなるんだろう?
そこで初めて気づいた。
銀行口座の残高よりも、もしかすると厄介なのは、スマホの中にあるものではないか、と。
ネット銀行、クレジットカード、サブスク、SNS、メール、各種サービスのログイン情報。
しかも、そのほとんどを自分しか把握していない。
「資産ゼロだから関係ない」
そう思っていた私にとって、デジタル終活は意外と身近な問題だった。
資産がなくても、スマホの中には「契約」が残っている
昔なら、亡くなった人の財産を確認するとき、通帳や印鑑、保険証書などを探したのかもしれない。
しかし今は違う。
ネット銀行を使い、クレジットカードを登録し、スマホで決済する。
動画配信サービスやクラウドサービス、AIツールなども、いつの間にか毎月料金を払っている。
私自身も、生成AIを使ったり、ブログを運営したり、動画制作ツールを試したりしている。
新しいサービスを使うたびにアカウントが増え、IDとパスワードも増えていく。
そして恐ろしいのは、自分では「全部わかっているつもり」になっていることだ。
でも、もし自分がいなくなったら?
残された人は、どのサービスを契約しているのかさえ分からない。
国民生活センターにも、亡くなった家族のネット銀行を確認したいのにスマホのロックを解除できず、契約先すら分からないという相談や、サブスクを解約したいのにIDやパスワードが分からず困ったという事例が寄せられている。サブスクは、原則として解約手続きをしなければ請求が続く可能性があるという。
つまり、残す財産が少なくても、残す「面倒」は意外と多い。
これが、私がデジタル終活について考え始めた理由だった。
一番困るのは「スマホが開かない」ことかもしれない
考えてみれば、今の私たちの生活はスマホに集約されている。
メール。
銀行。
決済アプリ。
写真。
連絡先。
SNS。
そして、各種サービスのログイン情報。
しかし、本人以外がスマホを開けなければ、それらはほとんど確認できない。
国民生活センターも、故人のスマホやパソコンのパスワードが分からない場合、第三者によるロック解除は困難だとしている。実際に、携帯電話会社に相談しても初期化はできても、画面ロックを解除できなかったという事例も紹介されている。
これは考えてみると、かなり怖い。
「スマホの中に何があるか分からない」
「どこのサービスに登録しているか分からない」
「毎月何にお金を払っているのか分からない」
家族からすれば、これは相当なストレスになるはずだ。
本人にとってはたった一台のスマホでも、残された人にとっては、開かない金庫のようなものになってしまう。
私が考えた「最低限のデジタル終活」
もちろん、私は完璧な終活をするつもりはない。
人生のすべてをノートに書き残すようなことも、今のところ考えていない。
ただ、最低限これだけは整理しておこうと思った。
1.使っているサービスを一覧にする
まずは、現在利用しているサービスを書き出す。
・銀行や証券会社
・クレジットカード
・スマホ決済
・サブスク
・メール
・SNS
・ブログ関連
・AIツール
・クラウドサービス
重要なのは、細かく完璧にやることではない。
「こんなサービスを使っていた」という手がかりを残すことだと思う。
2.パスワードそのものを全部書く必要はない
これは難しいところだ。
パスワードをそのままノートに書いて、誰でも見られる状態にするのは怖い。
一方で、誰にも分からなければ、万が一のときに何も確認できない。
国民生活センターは、必要な情報を整理したうえで、パスワード部分をマスキングした「スマホのスペアキー」のような方法も紹介している。
自分なりに、保管場所や伝え方を工夫する。
大切なのは、「誰にも教えない」ことと「誰にも分からない」ことは違う、と考えることかもしれない。
3.毎月引き落とされるものを確認する
これが意外と盲点だった。
「月額数百円だから」
「今は使っているから」
そんなサービスでも、何年も放置すれば積み重なる。
まずはクレジットカードや銀行口座の明細を見て、毎月・毎年支払っているものを確認する。
使っていないサービスは、この機会に解約する。
生きている間にも節約になるし、万が一のときに残された人の手間も減る。
これは終活というより、普通の家計整理にもなる。
「死ぬ準備」ではなく「今を整理する作業」
デジタル終活という言葉を聞くと、少し重く感じる人もいると思う。
私もそうだった。
まだ52歳で、「もし自分が明日いなくなったら」なんて考えるのは早すぎる。
そう思うかもしれない。
でも、実際に考えてみると、これは死ぬ準備というよりも、今の自分の生活を整理する作業だった。
使っていないサブスクを見直す。
忘れていたアカウントを整理する。
大切な写真の保存場所を確認する。
何かあったとき、最低限どこを見ればいいか分かるようにしておく。
資産が何億円あるかは関係ない。
むしろ今の時代、誰でもスマホの中に「自分しか知らない情報」を大量に抱えている。
愛知県も、スマホのIDやパスワード、契約中のサービスを整理し、必要に応じて事前にアクセスできる人を指定できるサービスの活用などを呼びかけている。
私たちは気づかないうちに、かなり複雑な「デジタル上の生活」を作っているのだと思う。
自分がいなくなったあと、何を残したいのか
正直に言えば、私は「資産をたくさん残せる人生」ではなかった。
失敗も多かったし、人生を何度もやり直してきた。
だからこそ最近は、「何を持っているか」よりも「何を残せるか」を考えるようになった。
ブログの記事。
これまでの経験。
失敗から学んだこと。
そして、誰かが人生をやり直すときに少しでも役に立つかもしれない言葉。
もちろん、それらが本当に誰かの役に立つかどうかは分からない。
でも、少なくとも自分が生きてきた記録を、誰にも分からないスマホの中だけに閉じ込めてしまうのは少し違う気がしている。
デジタル終活を考えたことで、逆に「今、自分は何を残しているんだろう?」と考えるようになった。
次は、「情報」そのものについて考えてみたい
スマホの中には、契約情報だけではなく、大量の情報が入っている。
ニュース。
SNS。
YouTube。
検索結果。
そして、私たちが「正しい」と思い込んでいる情報。
最近、私はある人物について、自分自身の印象が大きく変わった経験があった。
きっかけは、日本語に要約されたニュースではなく、本人が英語で実際に話している言葉を聞いたことだった。
日本のニュースを見ているだけでは分からなかったニュアンス。
切り取られた発言と、実際の会話の違い。
「情報を受け取る側のフィルターによって、人の印象はここまで変わるのか」
そんなことを考えさせられた。
次回は、少し踏み込んで書いてみたい。
「トランプは本当に狂人なのか?」
そして、日本のメディアを通して見ている国際機関や世界の出来事は、本当に私たちが思っている通りなのか。
英語で本人の言葉を聞いたことで、私の印象がなぜ変わったのか。
「情報は、誰が、どの言葉で、どの部分を伝えるのか」
そんな視点から考えてみたいと思う。


